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PEOPLE / INTERVIEW2年をかけて走り抜いた42.195キロ(後編)荒井レイラ

  • インタビュー
  • TEXT BY Sakura Sugawara  PHOTO BY Chihiro Ishino, Yuito Ueda

「2回目のフルマラソンを走る前は、ちょうど舞台をやっていたんです。稽古が終わってから少し走ったりはしていたけれど、本当に時間がなくて……仕事をしながらフル完走を目指すのって、それこそ体力勝負ですよね」

初めてのフルマラソンからちょうど1年。去年と同じ湘南国際マラソンが、再挑戦の舞台だ。前回は膝の痛みや孤独と闘いながら、35キロ地点でリタイアをした。そんな悔しい記憶を抱えているのに、荒井レイラは気負いがない。

「無理に練習しすぎて、また膝を痛めたら本末転倒。あとはもともとの自分の体力と根気強さに賭けようと思って、本番に臨みました。つらさは充分に分かっていたけれど、とにかく走りきりたかった。この一回を完走して、辛いフルマラソンをもう卒業したかったんです」と、いたずらっぽく笑う。

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初めてのときに完走できていれば、そうは思わなかったかもしれない。一度走ってだめだったからこそ、中途半端のまま終わるのは絶対にいやだった。去年残した7キロを走り抜いて、気持ちよくフィナーレを迎えたい。

膝の不安は、変わらず残っていた。15キロを超えたあたりで、少しずつ違和感が出てくる。

「やっぱりきたな、という感じでした。でも、今年は一緒に走ってくれるひとがいたんです。去年はずっと一人だったから、それだけで気持ちが全然違った。NBRCで知り合ったひとたちが応援してくれているのも聞こえて、みんな頑張っているから私も、って自然に思えました」

ペースはキロ7分くらい。勢いあまって6分後半まで差しかかると、冷静にスピードを落とす。一緒に走るさまざまな仲間の存在に、ずいぶん安心できたのだと言う。走りながら向けられていたカメラのなかで、彼女はとても楽しそうだ。リラックスした笑顔を浮かべながら、淡々と脚を運び続ける。

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昨年リタイアを余儀なくされた35キロ地点では、1年前と同じ景色が広がっていた。膝はいやな存在感を主張しているけれど、今年の足取りはまだ充分に軽い。

「いぇーい、去年の自分に勝ったー!!」

その場所を通り過ぎるとき、彼女が思わず口走ったその一言に、すべてが凝縮されている。ひたすらつらいもののように思えていたフルマラソンが、色を変えた。ようやく、本当の意味でゴールに目が向いたのかもしれない。去年の自分を優しく受け止めたあとは、今年の自分が、残りの7キロを駆け抜けるだけだ。

「この1年間は本当にいろんな経験をしてきたから、去年よりも強くなれた気がしています。SUPER☆GiRLSにいたときは『一人でなんとかしなくちゃ』みたいな硬さがあったけれど、一人になったことでだいぶふっきれた。良くも悪くも自分しかいないので、ありのままを解放できるようになったんですよね。NBRCみたいに、グループ以外のひとと交流するようになったのも大きいかもしれません」

一人になったからこそ、誰かの存在を強く感じることもある。少なくとも今年の42.195キロには、周りの仲間の存在がいつもより温かかった。

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「フルマラソンはもう当分いいかなって思うけど……自分のなかで、何かを成し遂げたいとか、達成したいって気持ちが生まれたら、また走りたくなるかもしれない。2度目の湘南国際マラソンは、私にとってちょうどそんなタイミングだったから。でも、やっぱり、しばらくはいいです(笑)」

いまはまた、ハーフを走りたい。ロケーションやエイドを存分に味わいながら、かろやかに楽しめる、ちょうどいい距離だと言う。次はハーフで2時間を切るのが目標だ。彼女はまた、走り始める。

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荒井レイラ

avex所属のアイドルグループ『SUPER☆GiRLS』を卒業し、2016年6月よりソロに。モデルや舞台など、活躍の場を広げている。現在はフォトグラファー魚住誠一とタッグを組み、荒井レイラ本人がプロデュースする写真集の実現に向けて、クラウドファンディングを実施中。

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