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PEOPLE / COLUMN【REPORT】『NBRC』PRESS PREVIEW/トークセッション――ランコミュニティが紡ぐ可能性

  • コラム
  • TEXT BY Sakura Sugawara  PHOTO BY Takashi Imai
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ニューバランスが立ち上げた『new balance run club』略して『NBRC(エヌビーアールシー)』。“進化を触発するサードプレイス”をコンセプトに、多様化するランニングと向き合い、新たなカルチャーを発信していく試みだ。11月24日に行われたローンチイベントでは、文筆家の松浦弥太郎氏、プロランナーの八木勇樹氏、モデル/スタイリストのベイカー恵利沙氏がトークセッションに登壇。誰かと走ることに、彼らはどんな意味を見いだしているのだろうか。

トークセッションに登壇した3人のバックグラウンドは、ばらばらだ。だけどそれぞれに走り、ゆるやかなコミュニティを作っていることが、まずランニングの多様性を示している。松浦弥太郎氏は、自身のランスタイルをこう語った。

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「一人で走るとついスピードを求めてしまうけれど、週末に仲間と楽しむのは、もっとリラックスしたラン。自然発生的に集まって、それぞれが走りたいように走ります。一人でカフェにいるときに、ふと隣の人と会話が生まれるみたいな心地よさがあって……もう、自分の日常になくてはならないものです」

隣り合うことがあれば、たわいないおしゃべりを楽しみながら、自由に走る。いわゆるグループラン――みんなで記録を目指したり、足並みを揃えて走るような――よりももっと、肩の力が抜けているつながりだ。

「そこで共有される時間があるから、個人としてさらにタフになれたり、パフォーマンスが充実したりするんです。自立した大人が人間関係を作るような感覚で、ランを楽しむ。そんな新しいスタイルが生まれてきているのかもしれません」(松浦弥太郎)

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ベイカー恵利沙氏は、気の合うひとたちと会って、楽しい時間を共有する。学校でも職場でもない、いわゆる“サードプレイス”を、彼女は走ることですでに見つけているようだ。

「一緒に走るのは、ランを通じて出会った女の子たち。仕事も年齢もばらばらだけど、仲良しです。おいしい朝ごはんを食べたくなったら、深夜に都内の名所をランで周って、ゴールを朝の築地にしてみたり……友達と遊ぶ代わりのように走っています」(ベイカー恵利沙)

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少し毛色が違うコミュニティを作っているのは、実業団からプロに転向した八木勇樹氏。

「僕が主宰しているチームでは、それぞれ目標を決めて、仲間とともに走ります。メニューは個々に合わせてカスタマイズしているけれど、そのやり方が絶対ではありません」(八木勇樹)

同じ時間に同じ場所を走るだけで、お互いに励まし合うムードが生まれる。目標に向かってともに邁進するけれど、誰かに何かを強制されることはない関係だ。

「修行僧のようにストイックなひとだけが、スポーツで結果を残せるイメージがあるかもしれません。けれど、一人ひとりが個性のある人間でしょう。力を伸ばす方法だってひとつじゃない。個々のスタイルを尊重しながら伸びていける環境を作って、日本の陸上界を変えていきたいんです」と、彼は言う。

 

恵利沙氏も、自身のコミュニティに確かな使命を感じていた。

「女の子たちの、『痩せていないと可愛くない』という強迫観念をなくしたい。私もずっと苦しめられてきたから、発信できる立場になった今こそ、メッセージを伝えたいんです。痩せるためではなく、自分が楽しむために走っている私たちの姿を見せることで、少しずつ何かを変えていけたら」

コミュニティが存在する理由も、楽しみ方も、さまざまだ。共通するのは、誰もがそれぞれのスタイルで走っていること。『NBRC』にもきっと、多様なランナーたちが集う。そこでは、さらに興味深い価値観の交換が生まれ、進化を触発するだろう。

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【松浦弥太郎】 文筆家。1965年生まれ。渡米後、アメリカの書店文化に触れ、日本におけるセレクト書店の先駆けとして「COWBOOKS」を立ち上げる。新聞、雑誌など多方面のメディアでエッセイストとしても活躍。2006年から約9年間『暮しの手帖』の編集長を務め、2015年4月よりクックパッドに入社し、『くらしのきほん』を立ち上げ、編集長に就任。 【八木勇樹】 YAGI RUNNING TEAM 代表・マラソンランナー。1989年生まれ。早稲田大学在籍時に、駅伝3冠(出雲・全日本・箱根)、関東インカレ・日本インカレ総合優勝の5冠という史上初の快挙を達成。大学卒業後は、旭化成陸上部に所属。陸上界に変革を起こすべく、2016年6月に同社を退社し、株式会社YAGI OFFICEを設立。現在は、自身が代表を務めるYAGI RUNNING TEAMに所属しながら、東京オリンピックを目指し活動中。2016年11月の神戸マラソンで、日本人トップとなる2時間24分30秒でゴール。 【ベイカー恵利沙】 モデル・スタイリスト・『ELLEgirl』 キュレーター。1989年生まれ。オレゴン州と千葉県育ち。モデルをしながら、2014年よりスタイリストとしても活動を開始。4度のフルマラソン完走経験を持つなど健康的なライフスタイルも支持を集めている。

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