オリンピック選手をはじめ、多くのアスリートのフィジカルトレーナーの経歴を生かした科学的なトレーニングを取り入れ、モデルから一般ランナー、トップアスリートまで幅広い指導を行っている湘南ベルマーレスポーツクラブトライアスロンチーム ヘッドコーチの中島コーチが、走り方やトレーニング方法などランニングに関する話題を隔週でお届けします。

小学5,6年生の50m走の全国平均タイムの844倍

2012年5月14日(月)

小学5〜6年生、50m走の全国平均8〜9秒。これは全速力。フルマラソン、世界記録はこのくらいのスピードで走り続けます。これは42kmを走り続ける全速力。小学5−6年生844名がリレーしたら、オリンピックメダリストと良い勝負ができますね。
同じ全速力で、“走る”という動作は同じなのですが、距離の差でエネルギー代謝の方法が大きく違います。

人間の筋肉が動くためにはエネルギーが必要です。筋肉に蓄積されたある物質が分解してエネルギーになるのですが、その物質は、400mくらいの全速力で走るとなくなってしまう程度しか蓄積されません。短距離走はこれで競技が終わってしまうのですが、それ以上の競技はそうは行きません。ということで、その分解された物質を再合成する必要があります。

再合成の方法はいくつかあるのですが、持久系のスポーツでは、主に酸素と脂質、糖質(炭水化物)が使われます。エネルギー再合成に酸素が使われるから、持久系の運動を有酸素運動と言います。

呼吸によって取り込まれた酸素は心臓がポンプとなり、肺から全身に送り出す血液によって筋肉まで運ばれます。心臓は筋肉でできていて、トレーニングを続けることにより、その壁(筋肉)は厚くなり、1回に送り出すことができる血液量が多くなります。1回に送り出すことができる血液が増えるということは、心臓がバクバクせず、呼吸もゼェハァせず、余裕を持って走ることできるということになります。更にトレーニングを続けるとカラダの隅々まで酸素を運ぶ毛細血管が増えるとも言われています。
これらがトレーニング効果の一つの要素です。

一般的な人の安静時の心拍数は70拍/分程度。トレーニングを続けると心臓のポンプ力が向上して、心拍数が少しずつ下がってゆき、トレーニングを継続した一般ランナーは50拍/分以下になってゆきます。トレーニング効果の一つの指標となります。
マラソンのトップアスリートは35拍/分という人もいます。一般人の半分の動きで十分な栄養素、酸素をカラダに送ることができるようになっているということ。早く走れる訳ですね。

走り方(フォーム)や体格、体質などの個人差はありますが、呼吸循環器(心臓、肺、血管)のトレーニング効果は誰もが得ることができます。
そのために大切なことはトレーニングを継続させること。そして、ゆっくり長く走るLSDで基礎体力をつけること。
長く走るためには、ペースを落とすこと。おしゃべりが楽にできる程度のスピードが目安。
継続させるためには、ケガをしない事。体力レベルにあったシューズ選びやトレーニング後のストレッチングなどを十分に行って、筋肉に余分な負担をかけないことが大切。
LSDを行うときは、衝撃吸収性、安定性を重視したシューズにすると良いでしょう。

中島靖弘
中島靖弘
生年月日:1965年6月9日
出身地:神奈川県  血液型:O型
湘南ベルマーレスポーツクラブトライアスロンチーム ヘッドコーチ/ニューバランス ジャパン ランニングアドバイザー
オリンピック選手をはじめ、多くのアスリートのフィジカルトレーナーの経歴を生かし科学的なトレーニングを取り入れる。モデルから一般ランナー、トップアスリートまで幅広い指導歴を持つ。日本トライアスロン連合マルチスポーツ委員長
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